行政事件訴訟法における当事者訴訟についてわかりやすく解説します。
取消訴訟に代表される抗告訴訟と、当事者訴訟を、対比して考えます。
抗告訴訟
抗告訴訟は、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟です。
行政庁の公権力の行使とは、処分や裁決がその代表例です。
抗告訴訟の代表例は、取消訴訟です。
当事者訴訟
当事者訴訟は、権利主体が対等な立場で権利関係を争うものです。
つまり、ほぼ民事訴訟です。
当事者訴訟には、形式的当事者訴訟と実質的当事者訴訟があります。
形式的当事者訴訟
形式的当事者訴訟は、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするものです。
形式的当事者訴訟は、形式的には当事者訴訟であるけれども、実質的にはそうでないということを意味しています。
では、実質的には何かというと、抗告訴訟です。
形式的当事者訴訟は、実質的抗告訴訟です。
処分又は裁決に関する訴訟であるため、実質的抗告訴訟と言えます。
一方で、当事者間の法律関係の当事者の一方を被告とする(処分や裁決をした行政庁を被告としない)ため、形式的当事者訴訟と言えます。
実質的当事者訴訟
実質的当事者訴訟は、公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟です。
前述の通り、当事者訴訟は、ほぼ民事訴訟です。
つまり、実質的当事者訴訟は、実質的にほぼ民事訴訟です。
民事訴訟と何が違うかといえば、民事訴訟は私人間の争いであり、実質的当事者訴訟は私人と行政主体との争いです(被告が行政主体)。
まとめ
当事者訴訟は、ほぼ民事訴訟です。
形式的当事者訴訟は、実質的抗告訴訟です。
実質的当事者訴訟は、実質的にほぼ民事訴訟です。
以上です。
以上です。